死んだ後に持っていけるもの――「極楽行きのパスポート」は、いくらで買えますか?
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死んだ後に持っていけるもの――「極楽行きのパスポート」は、いくらで買えますか?
1. もし死んだ後の世界があるとしたら
「もし死んだ後に行く場所が選べるとしたら、どこを選びますか?」
仏教では、「六道輪廻(ろくどうりんね)」という言葉があります。これは、人は死んだあと、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天という六つの世界をぐるぐると生まれ変わり続ける、という考え方。しかも、そこに「終わり」はなく、苦しみの世界に長くとどまることさえあります。
その中で唯一「苦しみのない世界」とされるのが、「極楽浄土(ごくらくじょうど)」です。仏さまの世界。まるで天国のような理想郷です。
驚くのは、そこが“無料”で開かれているということ。ディズニーランドの入場料が9,000円だったとしても、極楽浄土には「お金」なしで入れるんです。
でも――じゃあ、どうすればそこに行けるのでしょう?
2. 「極楽行きのチケット」は、どこで手に入る?
とある先生はこう問いかけました。
「もし“極楽行き”のチケットがあるとしたら、あなたはいくら出しますか?」
10万円? 100万円? それとも…?
しかし先生は続けます。「あの世にお金は持っていけません。お金では極楽には行けないんです」
地獄でもワイロは通用しない。お金や地位、学歴も通用しない。そこでは“心のあり方”だけが問われるのです。
つまり、“死んだ後の世界”に何かを持っていけるとしたら、それは「生きている間の心と行動」。誰かにどう思われたか、どれだけ稼いだかではなく、どう生きたかがすべてなのです。
3. 「体を大切に使う」ことも、極楽行きの準備かもしれない
極楽に行くために必要なもの――それはお金ではなく、真面目に生きる姿勢かもしれません。
先生は、こんなたとえ話をされていました。
「自分の身体は、親からもらった“おもちゃ”のようなもの。粗末に扱うと、親は悲しむでしょう?」
これは、自分の命や健康を大切にしなさいというメッセージでもあります。たとえ今、お金がなかったとしても、まずこの“健康な体”がある。それこそが何よりの資本。
「体があるからこそできることがある。ならば、大切に丁寧に、真面目に使いましょう」
この考え方は、現代の不安や焦りに飲まれがちな私たちへの優しい処方箋にも思えます。
4. 借金も、悩みも、実は“背負いすぎない”でいい
お金の話でもうひとつ印象的だったのが、「借金は死んだらチャラになる」という一言。もちろん現実の法律の話ではありませんが、精神的な意味では「そんなに背負い込まなくていいよ」という励ましです。
誰でも、完璧ではない。理想通りに生きられない日もある。だけど、それでも「心の方向性」を間違えず、誠実に生きていればいい。生きることに、もう少し気楽さを持ってもいいんじゃないか。
極楽浄土に行ける人って、「完璧な人」ではないのかもしれません。むしろ、つまずきながらも、人として大切な何かを見失わずに生きてきた人なのかもしれません。
5. 「今」の生き方が、未来をつくっていく
「極楽行きのチケットはお金じゃ買えない」という言葉を聞いて、私はふと立ち止まりました。
忙しい毎日のなかで、心が置き去りになることがあります。成果や数字ばかりを追って、今目の前にある幸せや体の声に気づけない。そんな日々を送っていたら、どこへ向かっているのかさえ分からなくなってしまいそうです。
でも今、「この瞬間」を丁寧に生きることが、未来へのパスポートを手にすることかもしれません。
最後に、あなたにも問いかけたいのです。
もし死んだ後に“持っていけるもの”があるとしたら、あなたは何を残しますか?
今の生き方が、後悔のない未来につながっていると、自信を持って言えるでしょうか?
その答えは、今日1日のあなたの選択に、そっと宿っているかもしれません。