鍋は火を止めてから、味が染みる
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鍋は火を止めてから、味が染みる
― 身体と脳に起きている「沈黙の時間」の話 ―
煮物を作るとき、
ずっと火にかけ続ける人は、あまりいません。
一度火を止めて、
そのまま置いておくと――
味が、ぐっと染み込む。
出汁も同じです。
グラグラ煮立てるより、
火を止めたあとに、静かに広がる。
実はこれ、
人の身体や脳で起きていることと、まったく同じです。
動き続けていると、染みない
私たちは普段、
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忙しく動き
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考え続け
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話し続け
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力を入れ続けています
これは、鍋で言えば
ずっと強火にかけている状態。
この状態では、
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情報は入ってきても
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身体や脳の中に「染み込む」ことは起きにくい
ただ反応しているだけ、
ということが多いのです。
火を止めたときに起きること
鍋の火を止めると、
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対流が静まり
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温度差がゆるやかになり
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中と外が自然に行き来し始めます
このとき初めて、
味が素材の奥に入っていく。
人の身体や脳も同じです。
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動きが落ち着く
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姿勢が安定する
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呼吸が深くなる
その瞬間に、
中で起きていた情報や感覚が、ゆっくり統合されます。
沈黙は「何もしていない時間」ではない
何も話さず、何も考えず、
ただ静かにいる時間。
それは、
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サボっている時間
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止まっている時間
ではありません。
身体と脳が、整い直している時間です。
このとき、
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余計な緊張が抜け
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無駄な力が消え
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必要な感覚だけが残ります
まさに、
👉 味が染みる時間。
なぜ、沈黙のあとに言葉が深くなるのか
よくあることです。
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一生懸命話しているときより
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少し黙ったあとのほうが
短くて、腑に落ちる言葉が出る。
これは偶然ではありません。
沈黙のあいだに、
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身体が落ち着き
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脳が整理され
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本当に必要な言葉だけが残る
からです。
出汁が澄むのと、同じです。
身体が整うと、沈黙が生まれる
当院では、
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足の使い方
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歩き方
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骨盤の動き
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姿勢と呼吸
をとても大切にしています。
なぜなら、
身体が不安定なままでは、
脳はずっと「火を入れ続ける」から。
逆に、
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しっかり立てる
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楽に歩ける
-
呼吸が深くなる
と、
👉 自然に静かな時間が生まれます。
それは、
身体が「もう大丈夫」と判断したサインです。
煮立てすぎると、濁る
出汁を煮立てすぎると、
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雑味が出て
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香りが飛び
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本来の味がわからなくなります
言葉も、動きも、同じです。
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やりすぎる
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詰め込みすぎる
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力みすぎる
と、本質が消えてしまう。
まとめ
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味は、火を止めてから染みる
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身体も、落ち着いてから整う
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言葉は、沈黙のあとに生まれる
止めることは、サボりではありません。
完成に向かうための、大切な時間です。
最後にひとこと
身体が静まると、
言葉も、考えも、
自然と整ってきます。
それが、
人の体と心の、本来の働き方です。